2017年5月-10月
ヒメシャガとウンデカプレノールの構造式


 5月連休晴れの日, 府立の植物園ではヒメシャガが迎えてくれました。ヒメシャガの葉にはC45,C50,C55のポリプレノールの存在が透視でき,空を見上げました。表示化 合物はウンデカプレノール(C55)です。11個のイソプレン単位からなり, そのリン酸エステル体が細菌の細胞壁合成での糖のキャリアとして働きます。細菌のウンデカプレニル二リン酸合成酵素はファルネシル-PP (C15) からのイソペンテニル-PP(C5)8個のシス縮合を触媒します(1)。植物ではゲラニルゲラニル-PP (C20) からのC55合成が見られますが, その脱リン酸化物はフィカプレノールとして知られています(2)。ヒメシャガ葉に主成分として見出されるポリプレノール(C50)はフィカプレノール型と 予想されます。

参照:(1)Muth and Allen (1984) Arch Biophys. Biochim. 230(1), 49-60
        (2) Stone et al. (1967) Biochem. J. 102(1), 325-330


2017年1月-5月


 寒いながらも晴れの日に, 赤いナンテンの実が例年になく目立つ公園の前を通り過ぎ, 南の方のお寺を目指して歩きました。到着, 境内に入り五重の塔を左に遠望して見上げました。表示化合物はウンデカプレノール(C55)です。11個のイソプレン単位からなり, そのリン酸エステル体が細菌の細胞壁合成での糖のキャリアとして働きます。細菌のウンデカプレニル二リン酸合成酵素はファルネシル-PP (C15) からのイソペンテニル-PP(C5)8個のシス縮合を触媒します(1)。植物ではゲラニルゲラニル-PP (C20) からのC55合成が見られますが, その脱リン酸化物はフィカプレノールとして知られています(2)。

参照:(1)Muth and Allen (1984) Arch Biophys. Biochim. 230(1), 49-60
   (2) Stone et al. (1967) Biochem. J. 102(1), 325-330


2017年 新年度の挨拶


2017年(平成29年)が始まりました。世界的に激動になりそうな本年です。昨年度はhome-page内に英語での例会案内を加えました。 本年度もより良くなるよう努めます。イソプレノイド研究会は昨年長崎県の長崎シーボルト大学において開催されました。本年は東京に近い千葉県の東邦大学に て開催されます。研究結果の喜びを分かち合う研究会となることを望み, 新年度の挨拶と致します。

佐上 博
イソプレノイド研究会会長


2016年7月-12月


 空へと緑のイチョウ樹を背景にゲラニルゲラニル酸(GGA)の化学構造式
梅雨明け前7月イチョウ樹は葉の数も増え大きく広く緑濃くなります。秋には黄色に変容し落葉します。その葉にはポリプレノール(C80-C95)が多く検 出されます。我々ヒトでも老化に伴いドリコール(C90-C105)が大脳で多く検出されます。ポリプレノール、ドリコールどちらもω-E,E-ファルネ シル基を持つシス型ポリプレノールですが、GGA(C20)は全トランス型ポリプレニルカルボン酸です。レチノイン酸(C20)のω末端化学構造そのイオ ノン環が開いた構造(非環式レチノイン酸、acyclic retinoic acid)とGGAの構造は類似し,核内転写因子(RARやRXR)リガンドとしての作用(1)また植物ハーブでの存在(2)が明らかにされてきていま す。

参照:(1)Araki et al. (1995) Biochem.Biophys.Res.Commun. 209, 66-72
   (2) Shidoji and Ogawa (2004) J. Lipid Res. 45, 1092-1103


2016年4月-6月


満開のさくらを透かしてみえる湖を背景に化学構造式(フィトール)。
フィトールはクロロフィルにエステル体として存在する。野菜として摂取された後体内で飽和のフィタン酸を経て代謝される。フィタノイルCoA ヒドロキシラーゼの異常により, フィタン酸が蓄積する。2,3-ジヒドロゲラニルゲラノイン酸や15,16-デヒドロフィタン酸も蓄積する(文献1)。一方, フィトールはクロロプラストにフィチル化タンパク質としても同定されている(文献2)。

参照:(1)Evans et al. Biochim. Biophys. Acta (1983) 752, 346-352
   (2) Parmryd et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1999) 96 (18), 10074-10079


2016年2月-3月

        ピラカンサス(赤や橙の実)に囲まれたお城を見な がら見上げた空を背景に化学構造式 (フィトール)
 ピラカンサス(赤や橙の実)に囲まれたお城を見ながら見上げた空を背景に化学構造式 (フィトール)。
 フィトールはクロロフィルにエステル体として存在する。野菜として摂取された後体内で飽和のフィタン酸を経て代謝される。フィタノイルCoA ヒドロキシラーゼの異常により, フィタン酸が蓄積する。2,3-ジヒドロゲラニルゲラノイン酸や15,16-デヒドロフィタン酸も蓄積する(文献1)。一方, フィトールはクロロプラストにフィチル化タンパク質としても同定されている(文献2)。

参照:(1)Evans et al. Biochim. Biophys. Acta (1983) 752, 346-352
        (2) Parmryd et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1999) 96 (18), 10074-10079


2016年 新年度の挨拶

 2016年(平成28年)が始まりました。このまま暖冬かとおもいきや全国的に雪に見舞われました。しかし, 紅梅(京都1月25日)は見られ, 着実に春へと向かっているようです。昨年度はホームページの充実に努めました。 引き続き本年度もその努力を続けます。イソプレノイド研究会の本年度例会は, 昨年度開催の仙台から遠く離れた長崎にて開催されます。かの地においての研究交流が楽しみです。この研究会が少しでも研究生活を行う上で心の支えとなるこ とを思い, 新年度の挨拶と致します。

          佐上 博
          イソプレノイド研究会会長

2015年8月-2016年1月

トチュウ乾燥葉の2D-TLC

表紙はトチュウ乾燥葉(購入)のクロロホルム:メタノール(2:1)抽出, KOH処理ヘキサン抽出成分の2D-TLC。
トランス型ポリプレノールが右側から左下にファミリーとして主に検出される。
C75:15イソプレン単位。シス-トランス混合型ポリプレノールのベツラプレノールが中央にファミリーとして検出される。
C80:16イソプレン単位.ドリコールも両者ファミリーの中程に検出される。
 一次元目シリカゲル:トルエン:酢酸エチル (19:1)
二次元目RP-18シリカゲル: アセトン

参照:(1)Bamba et al. Lipids (2001) 36 (7), 727-732
        (2) Bamba et al. J. Lipid Res. (2005) 46, 2295-2298

2015年5月-2015年7月

桑の葉の2D-TLC

 表紙は桑の葉のHCl3:CH3OH(2:1)抽出, KOH処理ヘキサン抽出成分の2D-TLC。トランス型ポリプレノールのソラネソール(C45)は右上。 シス-トランス混合型ポリプレノールはファミリーとして存在する。フィカプレノール(ficaprenol C55-60)は中央。ベツラプレノール(betulaprenol C80-C85)は中央左下。ドリコール(dolichol C80- C85)は中央下 。

参照:Toyoda et al. J. Agr. Chem Soc. Japan (1969) 43 (10), 688-693


2015年1月-2015年4月、年頭の挨拶

年頭の挨拶

     2015年(平成27年)が始まり春へと向っています。昨年度は(1)研究会ホームページ開設、(2)研究会優秀発表者への奨励賞授与の二点を達成する 事ができました。本年度は、英語版を含めてのホームページの充実をめざします。昨今、経験のないような天候に驚かされますが、イソプレノイド化合物は太古 の昔からそのような変動に対応し、さまざまに構造上の多様性をましてきました。本年度のイソプレノイド研究会においても、ますますの研究成果が期待されま す。研究会がその精神的なバックアップとなるよう期待し、新年度の挨拶と致します。

    イソプレノイド研究会会長
    会長 佐上博

    2015年1月-2015年4月の表紙


    表紙は月桂樹の葉のCHCl3:CH3OH(2:1)抽出, KOH処理ヘキサン抽出成分の2D-TLC。ボンビプレノン(bombiprenone)はC43の全トランス型イソプレノイドケトンであり, 鎖長の異なるファミリーとして存在する  (下図) 。表紙中のbombiprenoneファミリー左斜めに同様のファミリーが見出されるが, ESI分析等によりC15から分岐するシス型イソプレノイドケトンファミリーと予想される。


    全トランス型イソプレノイドケトン
参照:Toyoda et al. J. Agr. Chem Soc. Japan (1970) 44 (1), 40-45
       Sagami et al. J. Lipid Res. (1992) 33 (12) 1857-1862


2014年11月-2015年1月


    沖縄でのマングローブ植物案内(右側にヒルギモドキの説明)マングローブ植物の一つであるヒルギモドキ(Luminitzera rasemosa)の葉っぱ、65度で乾燥後クロロホルム/メタノール(2/1)で一晩抽出、KOHによる加水分解後のヘキサン抽出物、その二次元TLC 展開図。一次元は順相シリカゲル60TLC:トルエン/エチル酢酸(4:1)二次元目は逆相RP=18シリカゲル60TLC:アセトン
    右の斜めladderはdolichol
    左の斜めladderはpolyprenol

 上図は採取した沖縄でのマングローブ植物案内(右側にヒルギモドキの説明)

参照:Skoczylas et al. Plant Physiol. Biochem. (1994) 32(6), 825-829
        Sagami et al. J. Lipid Res. (1992) 33 (12) 1857-1862


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