ユビキノン(UQ)ーコエンザイムQ(CoQ)とも呼ぶ

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 ゲノム配列が次々に決定されていく昨今の状況で、研究としてはすでに終了していると錯覚されている分野がある。 そ の1つに生体内成分の生合成経路とその遺伝子の対応づけがあると思う。大腸菌や出芽酵母などの早くから遺伝学の解析が進んできた生物でさえ全ての対応づけ がなされたわけではない。ユビキノンの生合成系については残念ながら未だそのような状況にある。我々の研究室ではユビキノン(コエ ンザイムQ)の生合 成系遺伝子の解析とユビキノンの新たな機能に関して研究を進めている。 
 ユビキノン
(コエンザイムQ)は2,3-ジメトキシ- 5-メチルー6ーポリプレニルー1,4-ベンゾキノンの総称 で、電子伝達系の成分として広く生物界に存在している。人はユビキノンを合成することができるので、ビタミンではない。ユビキノンの側鎖はイソプレン単位 を縮合する酵素(ポリプレニル二リン酸合成酵素)によって供給され、その側鎖の違いにより 個々の生物は特有の種類を有している。たとえば人間では側鎖のイソプレン単位が10であるためUQ10(CoQ10)と称され、マウス、トウモロコシでは 9、大腸菌では8, Hansenula酵母では7、出芽酵母では6単位のイソプレン側鎖を持つユビキノンを有している。分裂酵母はUQ10(CoQ10)を合成することから、CoQ10生産菌として利用できる可能性がある。
 CoQ10は心筋賦活剤として効く医薬品として使 用されていたが、2001年よりは食品サプリメントの認可を受けている。ユビキノンの生合成経路の酵素と遺伝子の構造の関係は完全には明らかにされておら ず、他のビタミン類の生合成研究に比較して、研究の進展は 遅い方である。
 我々の研究室では1986年ごろからこの
ユビキノン(コエンザイムQ)の 生 合成経路に興味を持ち、以後継続的に研究に取り組んで来た。その中でも特に側鎖合成酵素に焦点をあてた研究を進め、ヒトの側鎖合成酵素の解析を含め、6か ら10ユニットの側鎖を合成する酵素の解析を幅広く行った。

続きは
川向 誠、ユビキノンの生合成、機能に関する最近の展開、生化学、70:1344-1349 (1998)、
川向 誠、ユビキノンの生合成と新しい生理的機能、化学と生物、40(5);172-178 (2002)
川向 誠、ユビキノン発酵「発酵ハンドブック」共立出版 p406-407, (2001)
川向 誠 コエンザイム Q10の多 彩な生理機能と新生産法の開拓、バイオサイエンスとインダストリー65,463-465(2007)
川向 誠、コエンザイム Q10生産微 生物の開発、生物工学会誌、89:323-325(2011)
川向誠 戒能智宏 太田明徳 福 田良一 脂質の代謝 分担執筆 酵母の生命科学と生物工学(原島 高木編)化学同人 2013
戒能智宏、川向誠、第4章 生合 成と欠損症、「コエンザイムQ10基礎と応用」(山本順寛編)丸善 2015

戒 能智宏、川向 誠、コエンザイムQ10増産技術の開発、バイオインダストリー 34巻:5月号 63-71(2017)

を参照

論文

特許

川向

戒能

西田

渡子

松本

高田

東野